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  • 2024.07.03
  • Category: あけぼの(社報)

【会報誌】あけぼの 2024年07月号

※Gはグループを意味します

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掲載内容一部抜粋

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内田会計グループ 代表 長崎オフィス 所長 税理士 内田 佳伯

グレーゾーン

2024年は世界的な選挙イヤーと言われているそうで、主要国のリーダーを決める選挙が重なっている年です。日本でも、国のリーダーを選ぶ選挙ではありませんが、小国に匹敵する経済規模を持つ東京都の都知事選挙がおこなわれています。7月7日開票なので、この記事をご覧になる時はすでに結果が出ているはずです。

今回の都知事選では、立候補者が56名と前回の倍以上となり、ポスター掲示板の枠が足りない状況となりました。選挙への立候補者数が多く出ることは、民主主義国家としては望ましいことだと思います。どのような主張であれ、誰もが自由に発信し、立候補して民意を問えることは、民主主義国家として誇るべきことです。以前から東京都知事選は、注目度が高いこともあり、売名目的や冷やかしと思われる立候補者が多かったですが、ある程度は民主主義のコストと割り切って受け入れられると思います。

しかし今回は、ポスター掲示板の枠を事実上販売する、という団体が出てきました。そして、それを実際に購入し、広告として利用する個人や事業者もいました。報道によれば、現状では取り締まる法律が無く、違法ではないそうです。おそらく法律を制定した人も、このような非常識な行為は想定できなかったのでしょう。
法律で全てを決めることは現実的に不可能なので、違法ではないが法律が予定している行為でもない。いわゆるグレーゾーンは常に存在します。そのグレーゾーンの中で、やっていいこと、やってはいけないことを線引きするのは、モラルだと思います。

私たち税理士など法律に関わる士業は、グレーゾーンで線引きをしながら仕事をしています。残念ながらポスター掲示板の枠を転売するようなことをして、画期的アイデアだと誇る税理士も存在します。しかし、政治団体も士業も、社会的影響力に見合ったモラルを持つことが大事だと、今回の騒動をみて感じました。