2023年10月よりインボイス制度が始まり、間(はざま)である9月10月での経理処理についてお困りの方も多いのではないでしょうか。
今回は事務所や物件を借り、家賃を支払う側である借主の処理について解説いたします。
翌月分を先行して支払う家賃形式の場合、9月末に支払った10月分の家賃の処理はインボイスは必要なのでしょうか?
これについては、国税庁インボイスQ&A(問38)に、次の通り記載されています。
「~中略~ 同じ取引であっても、売手における売上げの計上時期と買手における仕入れの計上時期が必ずしも一致しない場合があります。~中略~ 原則として、売手における課税時期が令和5年10月1日以降のものとなる取引からインボイスを保存する必要があります。」
よって、貸主(大家さん)の収入計上の方法によって対応が異なります。
◆貸主が個人の場合
個人の場合の家賃収入時期は、原則として契約上の支払日とされています。
賃貸契約は10月利用分を9月に前払いする契約であれば、10月分の家賃を9月の収入計上することが原則です。
(貸主)インボイスの発行は必要なし
(借主)インボイスがなくても全額仕入税額控除が可能
ただし、継続的な記帳に基づいて不動産所得の金額を計算しているなど一定の要件に該当する場合には、貸付期間に対応する日とすることを認めています。
貸主が確定申告時に12月に受取る1月分の家賃を前受金処理している場合は、10月分の家賃を9月に支払ったとしてもインボイスの保管が必要になります。
◆貸主が法人の場合
法人の場合は、個人と異なり、収入計上の時期は貸付期間の対応する日になります。
10月分の家賃を9月に前払いする契約であっても、10月の収入計上になります。
(貸主)インボイスの発行は必要
(借主)インボイスがないと仕入税額控除ができません。インボイスの保管が必要
しかし、貸主が個人であっても法人であっても、借主が短期前払費用(※1)していたら、借主は仕入税額控除ができます。
ケースによってインボイスが必要だったり必要なかったりします。この機会に1つ1つの契約を確認していただければと思います。
※1 国税庁法令解釈通達(基通2-2-14 短期の前払費用)
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