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  • 2023.09.15
  • Category: 相続・事業承継 , お役立ち情報

知っておきたい遺言書のこと、無効にならないための残し方

投稿者:相続事業承継グループ

 遺言書は、本人が自筆で作成することもできますが、正しく作成していないと無効になってしまうこともあります。また、遺言書を自宅に保管していると、紛失や盗難、偽造や改ざんのおそれがあったり、せっかく書いても発見されず、遺言者の想いが遺族へ伝わらない場合があります。
 そこで手軽に書き残すことができ、かつ無効にならないための自筆証書遺言に係る遺言書(以下、この記事では「自筆証書遺言書」といいます)の保管の仕方を紹介します。

1.遺言の種類について

 個人が亡くなった後の財産は、遺言書がなくても法定相続によって相続がされますが、「法定相続人以外にも財産を残したい人がいる」、「不動産を特定の相続人に相続させたい」、「遺産分割で争いになるのを避けたい」等という意思や想いがある場合、遺言書が必要となります。

 遺言書の種類は、遺言者自らが手書きで書く「自筆証書遺言」と、公証人(※1)が遺言者から聞いた内容を文章にまとめ公正証書として作成する「公正証書遺言」があります(※2)。

※1:公証人は、公正証書の作成、定款や私文書の認証などを行う公務員。
※2:このほか、利用数は少ないですが、内容を秘密にしたまま、存在だけを公証人と証人2人以上で証明してもらう「秘密証書遺言」があります。

自筆証書遺言

 自筆証書遺言は、自分(遺言者)が、遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きして、押印をする遺言書です。遺言書の本文はパソコンや代筆で作成できませんが、民法改正によって、平成31年(2019年)1月13日以降、財産目録をパソコンや代筆でも作成できるようになりました。
 自筆証書遺言は、作成に費用がかからず、いつでも手軽に作成したり書き直したりすることができ、遺言の内容を自分以外に秘密にすることができます。

 ただし、遺言としての一定の要件が満たされていないと遺言が無効になったり、せっかく作成したにもかかわらず、遺言書が紛失したり見つけてもらえないおそれがあります。
 自筆証書遺言は、遺言者の死亡後、遺族が家庭裁判所に遺言書を提出して検認(※3)の手続きが必要です。検認が行われていない遺言書では、相続人の財産を分割したり引き継ぐことはできません。

※3:検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状や加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在の遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

公正証書遺言

 公正証書遺言は、公正役場で証人2人以上に立ち会ってもらい、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述し、公証人の筆記により作成してもらう遺言書です。遺言書の原本は、公証役場で保管されます。
 公正証書遺言は、公証人が遺言書作成を行いますので、遺言書が無効になる可能性が低くなります。また、遺言書の原本は公証人役場で保管されますので、勝手に書き換えられたり、捨てられたり、隠されたりするおそれがなく、家庭裁判所での検認の手続も不要となります。

 しかし、公正証書遺言を利用する場合は、公証人役場への連絡、証人2人が必要(証人については、有償で公証人役場へ依頼することもできます。)となるなど、手間や費用がかかりますので、作成にかかる自由度は低くなります。

2.自筆証書遺言書保管制度とは?

 自筆証書遺言書は、費用もかからず手軽に作成できる反面、せっかく遺言書を作成しても、上述のとおり要件の不備があると無効になってしまったり、自宅で保管している間に、遺言書が改ざん・偽造されたり、紛失したりするおそれもあります。

 また、最も懸念されるのは、遺族が遺言書の存在に気がつかないことです。

 そこで、自筆証書遺言書の手軽さなどの利点を生かしつつ、こうした問題を解消するため、自筆証書遺言書とその画像データを法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」が、令和2(2020)年7月10日からスタートしています。この制度は、全国312か所の法務局(※4)で利用することができます。

※4:制度が利用できる法務局を「遺言書保管所」といいます。

3.自筆証書遺言書保管制度の長所

(1)適切な保管によって紛失や盗難、偽造や改ざんを防げる
法務局で、遺言書の原本とその画像データが保管されるため、紛失や盗難および偽造や改ざんのおそれがありません。遺言者の生前の意思が守られます。

(2)無効な遺言書になりにくい
法務局職員が遺言書の要件などを確認するため、外形的なチェックが受けられます。ただし、遺言書の有効性を保証するものではありません。

(3)遺言書の存在が通知される
遺言者が亡くなったときに、あらかじめ希望した場合に限り指定された方へ遺言書が法務局に保管されていることを通知してもらえます。これにより、自筆証書遺言書の最大の懸念である遺言書が発見されないことを防ぎ、遺言者の意思に沿った遺産相続を行うことができます。

(4)検認手続が不要になる
家庭裁判所での検認が不要となり、相続人等が速やかに遺言書の内容を実行できます。

 このように、自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、遺言書の存在を遺族へ知らせることができ、安心して遺言書を残すことができます。
 遺言は、遺言者の遺族に残すための大切な想いです。その想いを無駄にしないために、また円満で円滑な相続手続きのためにもぜひご利用をご検討ください。


出典:政府広報オンライン「知っておきたい遺言書のこと 無効にならないための書き方、残し方