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  • 2023.08.30
  • Category: 相続・事業承継 , お役立ち情報

相続登記のすすめ

投稿者:相続事業承継グループ

1 相続登記の義務化

 現在は相続があった場合に被相続人が所有していた不動産の所有権移転登記をするかどうかは相続人に任せられています。そのため、相続が発生したものの登記を行わず先代や先々代の名義のままになっている不動産もよく見受けられます。

 しかしながら、令和6年4月1日からは相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った時から3年以内に登記を行わなければなりません。正当な理由がなく3年以内に登記がなされない場合には、10万円以下の過料の対象になります。

2 令和6年4月1日以前に発生した相続への遡及適用

 前述1の相続登記の義務化については、令和6年4月1日以前に発生していた相続についても適用され、令和9年3月31日までに相続登記を申請しなければなりません。もし、正当な理由がなく令和9年3月31日までに申請をしなかった場合には、1と同様に過料の対象になります。

3 未登記不動産の相続税への影響

 平成27年1月1日に相続税の基礎控除が6割に縮小されています。

(例)被相続人 父、相続人 母、子A、子Bの場合

 基礎控除
平成26年12月31日以前8,000万円(5,000万円+1,000万円×3人)
平成27年1月1日以降4,800万円(3,000万円 + 600万円×3人)

 平成26年12月31日以前の相続税は、上表の通り基礎控除が大きかったため相続税の申告が必要ないという方が多くいました。相続税の申告が必要ないため、きちんとした遺産分割協議を行わず、相続登記を行わないままにしているということがよくあります。

 では、父の遺産分割協議・相続登記がなされないまま相続人であった母が亡くなった場合に、父の名義のままにしている不動産の相続税の取扱いについてはどうなるのでしょうか?

 前述の未分割不動産については、相続人が法定相続分で所有しているものとして相続税の計算をします。今回の場合には母50%、子二人が各25%を共有しているものとされます。

 従って、将来母が亡くなり相続税の申告義務を判定する場合や相続税を計算する場合に、上記未分割不動産の50%が母の相続財産に含まれることになります。

 これは父の相続が発生した際に、相続人の話合いで子Aが不動産を相続すると決めていたとしても、正式な遺産分割協議書が作成されていなければ、遺産分割協議が成立していたという客観的な証拠にはならないためです。

4 ワンポイント

 遺産分割協議書が作成されず、登記も行われていない状態で母が亡くなった場合には、父の不動産を子Aに相続させたいという相続人の意志にかかわらず前述3のような取扱いとなります。

 相続登記の義務化とあわせて、相続人の意志をきちんと法的に反映させるためにも、ご身内が亡くなられた際には、相続税の申告義務の有無にかかわらず適時遺産分割協議書の作成と相続登記をされることをお勧めします。

 なお、万が一、遺産分割協議がなされない、あるいは、遺産分割協議書の作成がなされないまま、次の相続が起こってしまった場合でも、今回のケースでいうと母の相続税の申告期限までに、子Aと子Bで父の遺産分割協議書を作成し、登記をすることで母の相続財産に加算する必要がなくなります。