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  • 2025.09.19
  • Category: 未来会計

工藤公康氏に学ぶ「シミュレーションが導くあんしん経営」

投稿者:未来会計推進グループ

 皆さん、工藤公康さんをご存知でしょうか。九州の方にはおなじみかもしれません。現役時代は“優勝請負人”として活躍された名選手であり、監督としても福岡ソフトバンクをパ・リーグ優勝3回、日本シリーズ優勝5回へと導いた実績を持つ、まさに「勝ち方を知る男」です。
 数年前、その工藤氏の講演を聞く機会がありました。それまで私は、工藤氏に対してどちらかというと「熱血肌のタイプ」という印象を持っており、古田敦也氏のような知的なタイプではないのでは……と(失礼ながら)思っていました。ところが、実際には非常に理知的で、チーム運営や采配にも多くの戦略的な思考が込められていたことを知り、大変驚かされました。

 講演の中で特に印象に残ったのが、「準備とシミュレーションを何よりも大切にしていた」というお話です。

 プロ野球はおよそ1年かけて約140試合を戦う長丁場です。その中で勝ち抜くには、目の前の1試合だけでなく、先々を見据えて準備し続けることが不可欠です。工藤氏は、先発投手のローテーション一つ取っても、選手の体調不良や怪我といった不測の事態を想定し、それぞれのパターンに対してあらかじめ修正案を考えていたそうです。講演の言葉を正確には覚えていませんが、「起こりうるリスクを想定し、その対策を用意しておけば、たとえその事態が起きても想定内として落ち着いて対応できる」と語っておられました。

 こうして、徹底したシミュレーションと準備を通じて、安定的・計画的・戦略的にチームを運営し、勝利を積み重ねていったのです。

持続的な経営に必要なこと

 さて、企業経営の世界でも、さまざまなリスクが存在します。取引先の縮小や倒産、仕入先のトラブル、幹部の退職、事故や天災、設備の故障、さらには自身の病気など。中には、数年前のコロナ禍のように社会全体に影響を与える出来事も起こり得ます。

 もちろん、すべてのリスクを100%予測することはできませんし、あまりにも可能性の低い事象まで想定していたのではキリがありません。しかし、ある程度現実的に起こりうるリスクについては、「それが発生したらどうなるか?」「どう対応するか?」を平時からシミュレーションしておくことが、持続的な経営のために重要ではないでしょうか。

シュミレーションの実践

 弊社で開催している「将軍の日=5か年計画策定セミナー」では、参加される経営者の方に、自らの手で5年後の目標を設定し、それに向けた活動計画や数値計画を立てていただきます。その中で、「計画通りに進むパターン」だけでなく、「思い通りにいかない場合のパターン」も2~3通りシミュレーションし、それぞれに対する対応策まで検討していただく時間を設けています。

 これは、まさに工藤氏が監督時代に行っていた「リスクを想定範囲内に収めておく」という取り組みと同じ考え方です。

 経営者の皆様にとって、日々の意思決定には「勘と経験」が大きな役割を果たしていることでしょう。それは非常に貴重な財産です。しかし、経営環境が急激に変化し、将来の予測が困難な“VUCAの時代”においては、それだけに頼るのではなく、「シミュレーション」に基づく戦略的思考が、より一層求められています。

 事業を持続的に成長させるためにも、今こそ「シミュレーションが導くあんしん経営」に取り組んでみてはいかがでしょうか。