介護事業と法人税
社会福祉法人が行う介護事業は一部を除き法人税が課税されません。一方でNPO法人が行う介護事業は法人税が課税されることになります。
社会福祉法人もNPO法人も、法人税の世界ではその公益性の高さから同じ公益法人等という分類に区分されるのですが、上記のように法人税が課税されるか課税されないかの違いがあります。
今回は、その理由と今後について簡単に話をしたい思います。
社会福祉法における介護事業
まず、社会福祉法において「社会福祉事業とは第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう」とされ、一方で「社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益事業又は収益事業を行うことができる」とされています。
社会福祉法においては、社会福祉法人が行う介護事業は、その介護サービスの種類ごとに上記の社会福祉事業又は公益事業に分類されることになります。
また、NPO法人は第一種社会福祉事業を行うことができませんので、NPO法人が行う介護事業は上記の第二種社会福祉事業又は公益事業に分類されることになります。
法人税法における介護事業
さて、次に法人税法における介護事業について説明したいと思いますが、まずお話しの前提としまして公益法人等が行う収益事業は法人税が課税され、収益事業以外の事業は法人税は課税されません。
その法人税法上の収益事業は、34種類の事業に限定されています。後の話に関係することですが、この34事業の中には①医療保健業、②物品貸付業、③物品販売業、④請負業が含まれています。
そして、介護事業のうち、①介護サービス事業は医療保健業、②福祉用具貸与は物品貸付業、③福祉用具販売は物品販売業、④介護に関連する住宅改修は請負業に該当することになります(平成12年6月8日介護サービス事業に係る法人税法上の取扱いについて(法令解釈通達))。
以上をもとにしますと、介護事業につきましては、法人税法上は収益事業(上記の①~④)に該当し、法人税が課税されることになります。
社会福祉法人とNPO法人の違い
それでは、なぜ社会福祉法人が行う介護事業は一部を除き法人税が課税されず、NPO法人が行う介護事業は法人税が課税されるのでしょうか?
答えは単純です。これもまた法人税の法令上の話ですが、社会福祉法人が行う医療保健業は収益事業から除くということが特別に定められている(法人税法施行令第5条第1項第29号ロ)ためです。
そのため、社会福祉法人は、②物品貸付業に該当する福祉用具貸与事業、③物品販売業該当する福祉用具販売事業、④請負業に該当する住宅改修事業は法人税の課税対象になりますが、①医療保健業に該当する介護サービス事業は法人税の課税対象外となります。
一方でNPO法人は、社会福祉法人の様に特別な除外の規定がないため、①~④の全てが法人税の課税対象となります。
これまでと今後について
さて、以上のように社会福祉法人が行う介護サービス事業とNPO法人が行う介護サービス事業では、法人税が課税されない課税されるの大きな違いがあり、その理由は単純に法令で定められているからです。ただ、どの様な経過をたどり、その様な異なる取り扱いになったのか?色々調べてみましたが、はっきりとは分かりませんでした。設立の要件や運営方法の違いなどの様々な要因があるのかもしれません。
一方で法人税法上の収益事業については、昭和56年に医療保健業が追加されたのち、いくらかの変遷は経たものの大きな改正が行われていないことも事実です。
これまで、私たちが身近に感じる税金については様々な議論が尽くされてきたところですが、一方で公益法人に関連する税金については時代に即した議論が進んでいないように感じます。今後ますます介護事業の担い手が多様化するなかで、過去に制定された法令のまま法人税の課税が行われることに不公平はないのか?世の中の関心の向上と議論の熟成が望まれるところです。