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  • 2024.12.13
  • Category: 相続・事業承継

マイホームを売却して利益が出た場合の特例について【譲渡所得】

投稿者:相続事業承継グループ

ご自宅を売却された場合に適用される特例があることをご存知でしょうか?

通常、不動産(土地や建物)を売却した際の利益には、所得税が課税されます。
不動産(土地や建物)の譲渡所得に対する税金は、給与など他の所得とは別計算となります。
これを分離課税といいます。

不動産の所有期間に応じた譲渡所得の税率は以下の通りです。

  • 売却した年の1月1日時点で所有期間5年超  20%(所得税15%、住民税5%)
  • 売却した年の1月1日時点で所有期間5年以下 39%(所得税30%、住民税9%)

※平成25年から令和19年までは復興特別所得税として2.1%が加算されます。

1.3,000万円の特別控除の特例

マイホームを売却したときは、所有期間の長さに関係なく、所得から最高3,000万円まで差し引くことができる特例があります。これを「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

ただし、この特例を適用するためには以下の要件を満たす必要があります。

★売却した資産が次の(1)~(5)のいずれかに該当すること

(1)現在、ご自身が居住している家屋であること
(2)ご自身が過去に居住していた家屋であること

*住まなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までに売却する場合に限ります。

(3)(1)、(2)の家屋と一緒に売却した敷地や借地権
(4)(1)、(2)の家屋を取り壊した場合の敷地で以下の2つの要件をいずれも満たすもの

  • その敷地の譲渡契約が、家屋取り壊しの日から1年以内の契約で、住まなくなった日から3年を過ぎる日が属する年の年末までに売却していること。
  • 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を駐車場などとして貸し出したりしていないこと。

(5)家屋が災害などでなくなってしまった場合のその敷地で、以下の期限までに売却したもの

  • ご自身が居住している家屋の敷地の場合は、災害があった日から3年を過ぎる日が属する年の年末まで
  • ご自身が過去に居住していた家屋の敷地の場合は、住まなくなった日から3年を過ぎる日の属する年の年末まで

★売却した年とその前年、前々年にこの特例またはマイホームの譲渡損失についての特例の適用を受けていないこと。

★売却した年、その前年および前々年にマイホームの買替えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。


★買った家屋や敷地について、収用(※1)があった場合の特例を受けていないこと。


★親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売却していないこと。(※2)

※1 道路用地等として国や県、市などが個人の不動産(土地や建物)を買い取ること
※2 親子や夫婦の他、生計を一にする親族、家屋を売った後その家屋で同居する親族、血縁関係にある人、特殊な関係のある法人を含みます。

ご注意点

  • この特例を受けることだけを目的として入居されたと認められる家屋、マイホームを新築する期間中だけの仮住まいとして使った家屋、別荘などは適用外となります。
  • 入居した年から翌々年までの3年の間に、このマイホームを売却したときの特例を受けている場合は、マイホーム取得や特定増改築をした場合の住宅ローン控除、認定住宅を取得した場合の住宅ローン控除の適用を受けることはできません。
  • 入居した年から翌々年までの3年の間に、マイホーム取得や特定増改築をした場合の住宅ローン控除の対象となる資産以外の資産を売却し、この特例の適用を受ける場合にも、マイホーム取得や特定増改築をした場合の住宅ローン控除の適用を受けることはできません。

2.軽減税率の特例

売った年の1月1日現在で、マイホームの所有期間が10年を超えている場合、上記3,000万円の特例を適用した後の課税長期譲渡所得金額に対して、次の通り軽減された税率で税額を計算することができます。

課税長期譲渡所得所得税住民税
6,000万円までの部分10%4%
6,000万円を超える部分15%5%

※平成25年から令和19年までは復興特別所得税として2.1%が加算されます。

3.買替え(交換)の特例

マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年の間にマイホームの買換え(交換)した場合は、譲渡価額が1億円以下、売却した年の1月1日現在で所有期間10年超、居住期間10年以上など一定の要件に該当する場合、その譲渡益の課税を繰り延べる特例が受けられます。

ただし、上記3,000万円の特別控除の特例(及び軽減税率の特例)との選択適用となります。


今回は、「3,000万円の特別控除の特例」の適用要件についてご説明しました。
また、「軽減税率の特例」、「買換え(交換)の特例」を適用する際には、要件の詳細について確認する必要があります。
マイホームの売却等についてご検討される場合には、事前に当社社員へご相談されることをお勧めいたします。

参考

国税庁 タックスアンサーNo.3302 マイホームを売ったときの特例
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」