今年も年末調整の時期が近づいてきました。1年の納税額を確定させる重要な業務です。経理担当者は記入書類の配布や回収、控除証明書などの回収などの時間のかかる作業が多く、一斉回収が完了せず、毎年苦労されているのではないかと思います。今回創設されました「簡易な扶養控除等申告書」について解説します。
簡易な扶養控除等申告書の概要
令和5年度税制改正により、簡易な扶養控除等申告書が創設されました。令和7年1月1日以降に支払いを受けるべき給与等について提出する扶養控除等申告書から提出することができます。
簡易な扶養控除等申告書は、前年に提出した扶養控除等申告書の内容から異動がない場合に、詳細な情報を再度記入する代わりに、変更がない旨を記載するだけで済む申告書です。この申告書は、従来の扶養控除等申告書の代替として使用することができます。
記載方法
簡易な扶養控除等申告書の記載方法は以下の通りです。
- 申告者本人の氏名、住所、マイナンバーを記載
- 前年に提出した扶養控除等申告書の内容から変更がない旨を余白に記載
なお、給与支払者が従業員のマイナンバー等の情報を記載した帳簿を備えている場合、マイナンバーの記載は省略できます。
簡易な扶養控除等申告書が提出できないケース
- 該当者の変更(結婚、離婚、誕生、就職等)
- 扶養親族の年齢変動により控除区分が変わる場合(例:15歳→16歳、69歳→70歳)
- 本人が寡婦、ひとり親、勤労学生になる場合、ならない場合
- 障害者控除の対象者の障害の程度が変わり、控除額が変更される場合
- 配偶者の所得の見積額95万円超(給与収入150万円超)
- 扶養親族の所得の見積額48万円超(給与収入103万円超)
簡易な扶養控除等申告書の導入は、従業員の申告負担を軽減し、企業の事務効率を向上させる有効な手段です。ただし、適切な運用のためには、従業員と企業の双方が制度を理解し、正確な情報管理を行うことが重要です。企業は、この新制度の導入に向けて準備を進め、効率的な年末調整の実現を目指すことを推奨いたします。
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