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  • 2024.08.21
  • Category: 経営

令和6年10月1日からの中小企業倒産防止共済の制度改正

投稿者:経営サポートグループ

節税案の一つとして紹介されることが多い「中小企業倒産防止共済」(以下、倒産防止共済)。弊社からも紹介することがあるこの制度ですが、令和6年10月1日よりこの制度の改正が行われます。

再加入時、掛け金を経費にするには2年経過が必要

特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後同法の共済契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出するその共済契約に係る掛金については、本特例の適用ができないこと(支出時に損金不算入(資産計上))とされました(措法66の11②)。

国税庁 令和6年度 法人税関係法令の改正の概要 P.58

つまり、令和6年10月1日以降に倒産防止共済を解約し再度加入しようとした場合、解約日から2年を経過する日までは掛金を経費にできないことになります。

改正の背景

この改正が行われた背景としては、倒産防止共済の制度に関係します。
もともと倒産防止共済の制度の趣旨は、取引先の事業者が倒産した際の連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐため、無担保・無保証で掛け金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入できる、その掛金は損金または必要経費にできるというものです。
前納することで年間最大240万円経費にできることから、節税目的での加入が増えてきたことにより、今回の改正が行われることとなりました。
すでに加入している事業者の方にとっては解約後、節税目的で再加入するタイミングによっては使いづらくなる改正となっています。

解約を検討する際の注意点

さて、今回の改正を受けてすでに加入している事業者は令和6年9月30日までに解約するかどうかの検討が必要になってくるかと思います。その中で注意する点としては大きく2つあります。

1つ目は「解約した際に入ってくる解約手当金は全額利益になる」ことです。それまで払ってきた掛金は経費としてきたため、逆に入ってくるお金は利益になります。そのためそのまま受け取ると法人税や所得税が増える可能性があります。

2つ目は「掛金を納めている期間が40ヶ月未満の場合、解約手当金が100%もらえない」ことです。掛金を納めている期間が40ヶ月未満の場合、解約手当金は掛金の80%になってしまうため、損をすることになります。

他にも注意することはありますが、検討内容として大きく関わってくるのはこの2つになると思われます。今後の資金繰りや経営計画に関わってくる内容になります。
ご不明なことなどありましたら、ぜひ当社へご相談ください。