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  • 2024.08.26
  • Category: 福祉介護

源泉所得税について

投稿者:福祉介護グループ

 さて、以前に別の記事でご紹介しましたが、社会福祉法人に税務調査が入る場合、調査の対象は主に源泉所得税になります。法人税や消費税の納税義務がある社会福祉法人は限られているためです。

2023.08.08 社会福祉法人でも税務調査が入るケースにおける注意事項

 そこで、今回は、前回の記事で取り上げきれなかった士業報酬に係る源泉所得税について説明したいと思います。

士業報酬に係る源泉所得税

 士業報酬と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、税理士報酬、社会保険労務士報酬。また法人の事業の規模や内容によっては、弁護士報酬、公認会計士報酬。さらに、単発の場合が多いでしょうが、司法書士報酬、土地家屋調査士報酬、建築士報酬などもあるかと思います。
 細かく挙げれば他にもいくつかあるのですが、これらの士業報酬のうち内国法人(税理士法人、社会保険労務士法人、弁護士法人など)へ支払う報酬以外は、源泉所得税の徴収が必要になります。
 そして、源泉所得税の税率ですが、一部やや特殊な計算をするものもあるのですが、ほとんどが10.21%(1回の支払いで100万円を超える部分については20.42%)になります。 

注意すべきポイント

 さて、ここまで説明して、「それでどうした?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、問題は源泉所得税を徴収して納税する義務は、報酬を受ける側ではなく、報酬を支払う側にあるということです。
 どういう事かと言うと、例えば請求書や契約書などに源泉所得税の金額が記載されていなくても、支払う側は自前で源泉所得税を計算して納税しなければならないということです。

納税漏れを指摘された際に起こること

 例えば〇〇士報酬で月5万円支払いがあり、請求書等に源泉所得税の金額が記載されていなかったため、毎月5万円全額の報酬を支払い、源泉所得税を納税していなかったとします。仮に、税務調査で過去3年分を調査された場合、報酬の総額は5万円×12か月×3年=180万円となり、そのうち10.21%にあたる約18万円の源泉所得税の納税漏れが指摘されることになります。また、単発の士業報酬であっても、不動産が絡む場合など内容によってはさらに大きな金額になる場合も考えられます。

 記載していない相手側が悪いといえばそれまでなのですが、それでも税務調査で指摘を受ければ、報酬を支払う側が一度国へ納税しなければいけません。また、金額によってはペナルティーの税金が加算されます。
 さらには、納税した源泉所得税を報酬を支払った相手側へ請求するといった作業も出てきます。ちなみに、その相手側は確定申告が済んでいる年分の報酬であれば、確定申告をやり直す必要があります。
 なんとも煩わしい話で、関わった人全員が振り回されることになりますので、絶対に避けたいところです。

 社会福祉法人の税務調査を踏まえての記事でしたが、一般の法人(株式会社、有限会社など)でも起こりえることです。細かいことかもしれませんが、個人事業の士業報酬を支払う場合は、請求書等を注意して確認してみてください。分からないときは、税務署や顧問の税理士に尋ねてみるのもよいかと思います。