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  • 2023.12.22
  • Category: 福祉介護

国庫補助金等特別積立金<積立と取崩について>

投稿者:福祉介護グループ

社会福祉法人で計上する積立金の中には「国庫補助金等特別積立金」というものがあります。

この積立金は施設の建物や設備等の整備(固定資産・消耗器具備品等の取得)のため、国・地方公共団体からの補助金・助成金・交付金、また民間公益補助事業からの助成金などを受け取った場合に必ず計上しなければなりません。
新基準では10万円未満のものも積立の対象範囲に含まれ、設備資金借入金に対する償還補助金も対象となりましたのでご注意ください。

また、計上した積立金は取得した固定資産の償却期間に伴い減価償却費と対応するよう取崩をしていきます。消耗器具備品等については計上と同時に取崩します。積立金対象の資産を除却及び売却等をした際は、その時点での全額を取崩します。土地は減価償却しませんので売却しない限り取り崩しません。

計上すべき国庫補助金等

  1. 施設及び設備の整備のために国及び地方公共団体等から補助金・助成金・交付金等を受領した場合
  2. 施設及び設備の整備のために民間公益補助事業(※)による助成金を受領した場合
  3. 施設及び設備の整備のために借入れをし、その返済のための償還(返済)補助金を受け取った場合

※民間公益補助事業:日本財団、財団法人JIKA、共同募金会からの受益者指定寄附金以外の配分金等

仕訳例①:固定資産を購入 ※取得金額が10万円以上のもの

取得した固定資産等額:1,000,000円(耐用年数:10年 年取崩額:100,000円)
受領した国庫補助金等額:500,000円

借方貸方金額
資産等取得固定資産
(資金収支:固定資産取得支出)
現預金1,000,000
補助金等受領現預金施設設備等補助金収益
(資金収支:施設設備等補助金収入)
500,000
積立処理国庫補助金等特別積立金積立額国庫補助金等特別積立金500,000
取崩処理国庫補助金等特別積立金国庫補助金等特別積立金取崩額100,000

仕訳例②:消耗器具備品を購入 ※取得金額が10万円未満のもの

取得した消耗器具備品等額 :90,000円
受領した国庫補助金等額 :90,000円

借方貸方金額
資産等取得消耗器具備品費
(資金収支:消耗器具備品費支出)
現預金90,000
補助金等受領現預金施設設備等補助金収益
(資金収支:施設設備等補助金収入)
90,000
積立及取崩処理<事業活動:特別増減による費用>
国庫補助金等特別積立金積立額
<事業活動:サービス活動増減による費用>
国庫補助金等特別積立金取崩額
90,000

※10万円未満のものについて計上した積立金は同時に取崩の処理も行います。
※貸借対照表の国庫補助金等特別積立金の額は変わりません。

仕訳例③:借入金の償還補助金

取得価格:20,000,000円
借入金の償還補助金総額:15,000,000円(補助期間:15年  補助金額:年100万円)
減価償却費(固定資産耐用年数:15年 定額法償却率:0.067)
20,000,000円×0.067=1,340,000円 15,000,000円×1,340,000/20,000,000=1,005,000円
積立金取崩額:1,005,000円

借方貸方金額
補助金等受領現預金設備資金借入金償還補助金収益
(資金収支:設備資金借入金償還補助金収入)
1,000,000
積立処理国庫補助金等特別積立金積立額国庫補助金等特別積立金1,000,000
取崩処理国庫補助金等特別積立金<事業活動:サービス活動増減による費用>
国庫補助金等特別積立金取崩額
1,005,000

※資産購入時の償還補助金についての仕訳はありません。


決算などで改めてご確認いただけますようお願いいたします。

参考

e-Gov法令検索 「社会福祉法人会計基準」
厚生労働省 「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて」
兵庫県社会福協議会 「Q 減価償却費と国庫補助金等特別積立金取崩額」
愛媛県 「社会福祉法人会計基準適用上の留意事項(運用指針)」
厚生労働省 「社会福祉施設等施設整備費の国庫負担(補助)について」
(平成17年10月5日 付厚生労働省発社援第1005003号)