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  • 2023.09.28
  • Category: 経営

決算書から会社の未来がみえる【経営改善チェック表付】

投稿者:未来会計推進グループ

決算書は「企業の健康診断書」とも言えますが、たとえば、よい会社の3条件として、

  • 資金が回る ・・・ 当座資金がプラス → 事業の継続が成り立つ
  • 利益が出る ・・・ 経常利益がプラス → 当年の経営が成り立つ
  • 資本が厚い ・・・ 自己資本がプラス → 創業からの経営が成り立つ

この条件にあてはまるか下記の表でチェックしてみましょう。

項目内容結果
(1)現金預金
(2)借入金
(3)純資産の部
(4)売上高
(5)売上高総利益
(6)営業利益・経常利益
現状で月商の3か月分以上ある
15年以内に返済できる
現状でプラスである
直近3期連続で維持または増加
直近3期連続で維持または増加
ともに直近3期連続で黒字
Yes ・ No
Yes ・ No
Yes ・ No
Yes ・ No
Yes ・ No
Yes ・ No

チェックの結果はいかがでしょうか。1つでも「No」という項目があれば、経営改善の余地があります。

(1)現金預金

新型コロナウイルスのような事態に限らず、台風被害や豪雨などの災害による不測の事態を乗り切るために必要なのは現金預金です。人件費や地代家賃、リース料などの固定費分と買掛金などの支払分があれば売上ゼロの状態でもそれらの費用を払う必要があります。
金融機関に緊急融資等の申込から融資実行までにかかる期間、災害による影響を受ける期間を3か月程度みておく必要があるため、最低3か月の固定費を払えるように月商3か月分以上の現金預金を準備しておきたいです。

(2)借入金

事業を拡大したり、運転資金にあてるために金融機関から資金の借入を行うのが一般的ですが、借入金があまりに多額になると、借入金の返済が困難となります。
適正な借入の基準を測るときには、借入金額そのものではなく、その借入金額を何年で返済できるかという「返済年数(償還年数)」で判断します。財務省の指標では、毎期事業によって稼いだ利益(資金)により、借入金を10年以内で返済できる状況が健全な企業とされていますが、実務慣行としては、償還年数が15年以内であれば健全と判断できます。

(3)純資産の部

負債が資産よりも大きくなり、純資産がマイナスになると「債務超過」になります。

「債務超過」とは

  1. 現在企業にあるお金+将来企業に入ってくるお金(=資産)よりも、将来企業から出ていくお金(=負債)の方が多い。
  2. 利益や資金が充分に出せていない結果が債務超過という状況ももたらす。

実務的には、債務超過が続いたり、債務超過が多額になると金融機関から新規・追加融資が受けにくくなり、そのことが一層、事業継続を困難な状況に陥らせる要因になります。

(4)売上高

経営上、もっとも重要な指標です。それは、

  • 商品・製品やサービスに対するお客様の評価・販売実績を示す
  • 市場でのシェア(事業規模)を示す
  • 企業に資金をもたらすキャッシュ・イン・フローのいちばんの源泉となる

特に、売上高の減少による深刻な影響は「資金不足」です。売上高こそ、企業に資金をもたらすいちばんの源泉となるものです。

(5)売上総利益(粗利)

売上高から売上原価を差し引いて算出される利益です。
売上高が減少すると、通常、売上総利益も減少しますが、売上原価率(粗利率)の 改善により売上総利益の金額を増やすことができます。売上総利益の金額そのものが増加できれば、企業に残る資金も増加します。

(6)営業利益・経常利益

営業利益 : 本業での儲けを示す指標
経常利益 : 会社としての儲けを示す指標


経常的な経営状況のチェックには、営業利益や経常利益の段階で黒字化が継続しているか、今後も継続していくかということが重要です。
営業利益や経常利益は「儲けとしての利益」として、さまざまな資金の拠出源泉となるものです。設備資金、借入金返済、納税、手元資金確保などのもとになる利益です。
営業利益・経常利益の黒字化を行い、継続し、増加させていくことが、企業経営の基本となります。

【引用文献】「手元資金を増やす中小企業の経営改善の進め方」
( 著者:山本誉, 発行所:中央経済社,発売日:2021年 )


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