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  • 2023.07.04
  • Category: あけぼの(社報)

【会報誌】あけぼの 2023年07月号

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  • 不正防止のマネジメント~長崎オフィス所長よりご挨拶~
  • 事業計画を活用して利益体質に!
  • 長崎スタジアムシティ プロジェクト
  • 快水浴場百選
  • 税務カレンダー ・相談役からの一言

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掲載内容一部抜粋

Message

内田会計グループ 代表 長崎オフィス 所長 税理士 内田 佳伯

不正防止のマネジメント

 6月14日、自衛官候補生が射撃訓練中に他の自衛官に発砲し、二名が亡くなるという事件がありました。自衛官(のみならず警察官や消防士など自らを危険に晒して人を救う職業に就かれている方は皆さん同様ですが)は職務に命を懸けることを覚悟されているでしょうが、このような事件で命を落とすことになり、無念であったと思います。ご冥福をお祈りいたします。

 この事件を、マネジメントをする立場から見てみると、非常に怖い事件だと思います。ここまで極端ではないにせよ、人を雇用し、その人の行動に対して責任を負う以上は、その人の心理状態や環境、性格などによって、思いもよらぬ行動を取る可能性を考えなければなりません。ちょうど一年前の本稿で、税務調査の際に社員の不正が発覚することがあるので不正をさせない仕組みを作ることが必要、と書いたのですが、奇しくも一年後の今回、また同じことを書こうと思います。

 弊社が税務調査で直面する不正は、経理担当者による横領になりますが、当然ながら経理を任されるだけあって、大抵は経営者が信用のおける人物と考えていた方です。実際に周囲からも信用があり、とても不正をするとは思えない人物です。何事もなければ経営者の信頼に応えて問題なく最後まで会社のために尽くしてくれたかもしれません。しかし、何らかの事情でお金に困り、そこに横領ができる状況が揃った時に、つい出来心で会社のお金に手を出してしまうのです。最初は少額ですが、発覚しなかったことで繰り返すようになり、一回あたりの金額も増えていきます。

 人の心は弱いという前提で、不正ができない、やってもすぐに発見される仕組みを作り、発見される仕組みになっていると知らせることで、「出来心を持たせない」ことが大事です。経理に関して弊社が関与している場合は、外部専門家の目が入る、という事実が牽制効果になりますし、不正が起こりそうな仕組みであれば改善を提案することもありますが、経理以外の面でも不正ができない仕組みを意識していただければと思います。

 簿記会計の仕組みはよくできていて、横領などがあればいつかどこかで矛盾が出て発覚します。最後は会社には損害、本人は懲戒解雇となり、お互いに不幸しかありません。未然に防ぐに越したことはないと思います。