2026年11月2日から、長崎県の最低賃金が時給1,031円から1,087円へ引き上げられます。 引上額は56円、上昇率は約5.4%です。
「最低賃金の対象者は少ないから影響はない」
そう考える経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には最低賃金の引き上げは、会社全体の人件費や利益計画に大きく影響します。
今回は、最低賃金引き上げを前に、中小企業経営者が確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
最低賃金の引き上げは「人件費全体」の問題
最低賃金が上がると、最低賃金付近で雇用している従業員の給与調整が必要になります。
例えば、
- パート従業員5名
- 月120時間勤務
の場合、「56円 × 120時間 × 5名」で、月額33,600円の負担増となります。
社会保険の対象者がいればさらなる負担の増加につながります。
また、扶養の範囲内で収めたいという従業員がいれば勤務時間も短くなるため、給与だけでなく人員の配置についても再検討する必要が出てきます。
さらに重要なのは、最低賃金の引き上げが最低賃金対象者だけの問題ではないということです。
ベテラン社員との給与バランスは大丈夫ですか?
多くの企業で起こるのが「賃金の逆転現象」です。
例えば、
- 入社1年目:1,087円
- 入社5年目:1,100円
となると、経験や能力の違いが給与に十分反映されていないと感じる従業員が出てくる可能性があります。
その結果、
- モチベーションの低下
- 離職リスクの上昇
- 人材定着率の低下
につながることもあります。
最低賃金の見直しは、単なる時給改定ではなく、給与体系全体を見直すタイミングともいえるでしょう。
利益率の確認がこれまで以上に重要に
近年は、
- 原材料費の上昇
- エネルギーコストの上昇
- 社会保険料負担の増加
- 人件費の上昇
が同時進行しています。
人件費が増えても利益を確保できる体質であれば問題ありません。しかし、利益率が低い状態のままでは、今後の賃上げに対応することが難しくなります。
この機会に確認したいのは次の3点です。
- 商品・サービスごとの利益率
- 不採算取引の有無
- 値上げが必要な商品やサービスの把握
「売上は増えているのに利益が残らない」という企業は、一度数字を見直してみることをおすすめします。
生産性向上への投資も検討したい
人手不足が続く中、今後も賃金上昇の流れは続く可能性があります。
そこで重要になるのが、従業員一人あたりの生産性を高める取り組みです。
例えば、
- 会計・請求業務のデジタル化
- 勤怠管理システムの導入
- AIの活用
- 業務フローの見直し
など、小さな改善でも大きな効果が期待できます。
「人を増やす」だけではなく、「今いる人材でより高い成果を上げる仕組みづくり」が求められています。
最低賃金引き上げを経営改善のきっかけに
最低賃金の引き上げは、経営者にとってコスト増加という側面があります。
しかし見方を変えれば、
- 給与体系の見直し
- 利益率の改善
- 価格転嫁の検討
- 業務効率化の推進
といった経営改善を進めるきっかけでもあります。
最低賃金への対応だけで終わらせるのではなく、会社全体の収益力や生産性を見直す機会として活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
2026年11月2日から、長崎県の最低賃金は1,087円へ引き上げられます。
今回の改定で重要なのは、単に時給を引き上げることではありません。
- 人件費への影響を把握する
- 給与体系のバランスを見直す
- 利益率を確認する
- 生産性向上に取り組む
こうした視点で対応することが、今後の持続的な経営につながります。
当事務所では、賃上げによる人件費の増加を踏まえた資金繰りのシミュレーションや、税務面からの対策など、経営者の皆さまをサポートしております。今後の経営に不安やお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。