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  • 2026.10.15
  • Category: 福祉介護

  • Category: 福祉

年間会議室の利用料・フィットネス利用料は福利厚生費として認められるのでしょうか?

投稿者:福祉介護グループ

職員の働きやすい環境づくりや健康づくりへの取り組みは、安定した福祉サービスの提供にもつながる大切な視点です。そのため、近年は福利厚生の充実を検討される社会福祉法人も増えています。

その中で、「年間契約している会議室の利用料」や「フィットネスジムの利用料」は福利厚生費として計上できるのか、というご質問をいただくことがあります。

今回は、社会福祉法人会計における考え方や、税務・社会保険上の留意点について整理してみたいと思います。

福利厚生費とは

社会福祉法人会計では、福利厚生費は、役員や職員が福利施設を利用する場合の法人負担額や、健康診断など職員の福利厚生を目的とした費用として位置づけられています。福利施設の利用や健康増進を目的とした支出は、福利厚生費に該当する可能性があります。

ただし、福利厚生費として取り扱うためには、

  • 職員全体を対象としていること
  • 特定の役員や職員だけが利益を受けるものではないこと
  • 金額が社会通念上妥当であること
  • 健康増進や職員福祉の向上を目的としていること

といった点に配慮することが大切です。

年間会議室利用料の場合

年間契約している会議室であっても、まずは「何のために利用しているのか」を確認することが重要です。

職員会議や管理者会議、研修、各種打合せなど、法人運営や事業運営を目的として利用している場合には、一般的には「会議費」や「研修費」として処理する方が自然でしょう。

例えば、

  • 職員会議
  • 管理者会議
  • 各種研修
  • 業務上の打合せ

などは、業務遂行を目的とした支出であり、福利厚生費とは性質が異なります。

一方で、職員交流会やレクリエーション活動など、職員の福利向上を目的として利用する場合には、福利厚生費として整理できるケースも考えられます。

実務上は、年間契約の会議室の主な利用目的が業務である場合には、福利厚生費ではなく会議費や研修費として処理するケースが多いと思われます。

フィットネス利用料の場合

フィットネスジムやスポーツクラブの利用料については、職員の健康保持・増進を目的とした制度として導入されている場合、福利厚生費として取り扱うことが考えられます。

例えば、

  • 法人契約によるスポーツジムの利用
  • フィットネス利用料の補助制度
  • 健康づくりを目的とした運動支援制度

などは、福利厚生として位置づけやすいものといえるでしょう。

ただし、特定の役員や一部の職員のみが利用できる制度や、著しく高額な利用料を法人が負担している場合には、その支出の妥当性について説明が求められる可能性があります。

指導監査への備え

社会福祉法人には、役員や職員等の関係者に対して「特別の利益」を与えてはならないとする規定があります。 <社会福祉法第27条> では、評議員、理事、監事、職員などの関係者への特別の利益供与が禁止されています。

そのため、指導監査においては、「職員全体の福利向上を目的とした制度であるか」「特定の者のみが利益を受ける仕組みになっていないか」といった点が確認されることがあります。

制度を導入する際には、

  • 福利厚生規程を整備する
  • 全職員が利用できる制度とする
  • 補助上限額を定める
  • 利用申請書や領収書を保管する
  • 支給実績を管理する

といった対応を行っておくと、制度の趣旨を説明しやすくなります。

おわりに

年間会議室利用料とフィットネス利用料は、どちらも施設利用料ではありますが、利用目的や運用方法によって会計上の取扱いは異なります。

年間会議室利用料

  • 業務目的 → 会議費・研修費等として処理することが一般的
  • 福利厚生目的 → 福利厚生費として整理できる場合がある

フィットネス利用料

  • 全職員を対象とした健康増進制度 → 福利厚生費として取り扱える可能性がある
  • 利用対象者が限定されている場合や法人負担額が高額な場合 → 制度内容を慎重に確認したい

社会福祉法人では、支出の内容だけでなく、「誰のために」「どのような目的で」支出しているのかを説明できることが大切です。福利厚生費として処理する場合には、福利厚生規程や利用記録を整備し、制度の趣旨を説明できる状態にしておくと安心でしょう。

また、福利厚生費として会計処理を行う場合であっても、税務上や社会保険上の取扱いについて確認しておきたいケースがあります。

所得税基本通達36-29では、使用者が福利厚生施設の運営費等を負担した場合であっても、一定の条件を満たしていれば課税しなくて差し支えないものとされています。一方で、利用対象者が特定の役員や一部の職員に限定されている場合や、法人負担額が著しく高額である場合などには、その取扱いについて個別の検討が必要となることがあります。

また、社会保険についても、制度の内容や運用方法によっては、事前に取扱いを確認しておいた方がよいケースがあります。実際の判断は制度設計や利用状況によって異なるため、導入時や見直しの際には、税理士や社会保険労務士等の専門家へ相談しておくと安心でしょう。

職員の健康づくりや働きやすい環境づくりは、安定した福祉サービスの提供を支える大切な取組みです。制度の導入にあたっては、会計処理だけでなく、税務・社会保険・指導監査の観点も踏まえながら、対象者や利用条件を明確にし、法人の実情に合わせて無理のない形で運用していくことが望ましいでしょう。