中小企業を取り巻く経営環境は、依然として厳しさを増しています。
原材料価格や人件費の上昇、深刻な人手不足、そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れ。
これらは一時的な問題ではなく、企業の競争力を左右する構造的課題として顕在化しています。(2025年11月時点)
1.止まらないコスト上昇と「価格転嫁」の壁
近年の物価・エネルギーコストの上昇は、中小企業の経営を直撃しています。
特に取引先への価格転嫁が進まないケースが多く、2025年版中小企業白書によれば、十分な価格転嫁ができている企業は全体の半数に満たない状況です。
こうした中、政府・中小企業庁は「パートナーシップ構築宣言」や「価格交渉促進月間」などを通じて、取引の適正化を後押ししています。中小企業側に求められるのは、単に値上げ交渉を行うことではなく、自社の価値を明確に伝える姿勢です。
「なぜ自社の商品・サービスに適正な対価が必要なのか」を、数値やストーリーで示すことが、経営の信頼性を高める第一歩となります。
2.人手不足と地域での人材循環 ― 長崎に見る希望の芽
人手不足の問題は全国的に深刻化しています。
帝国データバンクの調査(2025年10月)によると、正社員が不足していると答えた企業は63.2%に達し、特にサービス業・建設業での影響が大きいとされています。
長崎県でも人口減少や若年層の県外流出が続く中、地域経済を活性化する新たな動きが見られます。その象徴が、V・ファーレン長崎(サッカー)と長崎ヴェルカ(バスケットボール)です。
V・ファーレン長崎を運営するジャパネットグループは、「長崎スタジアムシティプロジェクト」を通じて、地域の観光・飲食・宿泊・雇用を巻き込みながらスポーツを軸とした地域産業の再構築を進めています。
また、長崎ヴェルカも地元企業とのパートナー連携を強化し、「地域の誇り」として若者の関心を集めています。
これらの動きは、単なるエンターテインメントではなく、“働く場”と“応援する場”を融合した地域経済モデルとして注目されています。
地域に根ざした企業経営が、結果的に人材の定着や新しい雇用創出につながる——そんな好循環が少しずつ生まれつつあります。
3.DX化の遅れと“現場から始めるデジタル化”
DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応も、中小企業にとって大きな課題です。
多くの企業が「必要性は感じているが、何から手をつければよいかわからない」と悩んでいます。
しかし、国の支援策(IT導入補助金、ものづくり補助金など)を活用すれば、初期投資のハードルは確実に下げられます。
特に中小企業にとって重要なのは、大規模システムではなく“現場発の小さなDX”から始めることです。
例えば、
- 勤怠や経費処理のクラウド化
- 顧客管理(CRM)のデジタル導入
- 請求書・見積書の電子化
といった取り組みでも、業務の生産性は確実に向上します。
長崎スタジアムシティでも、電子チケット・キャッシュレス決済などの仕組みが導入され、地域イベントを通じてDXの波が広がりつつあります。
このように、地域の実例を参考にしながら「自社に合ったデジタル化」を進めることが、今後の持続的成長に直結します。
4.地域とともに歩む「持続する経営」へ
コスト上昇・人手不足・DX化の遅れという三重苦は、一企業の努力だけでは乗り越えにくい課題です。だからこそ今、地域と連携する経営が改めて重要視されています。
地元企業同士が協力し、行政や大学、スポーツクラブなどの地域資源とつながることで、新たな価値を生み出すチャンスが広がります。
V・ファーレン長崎や長崎ヴェルカが地域を巻き込みながら挑戦を続けているように、「地域発の元気」は企業の再生力にもなるのです。
税理士法人として私たちができることは、数字の管理や申告支援にとどまりません。
経営計画の策定支援、補助金制度の活用など、社外重役として地域の発展に貢献できるようサポートしていきます。
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