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  • 2026.02.13
  • Category: 相続・事業承継

自社株式評価の最新動向と4月以降に以降に取り組む株価対策

投稿者:相続事業承継グループ

自社株式は、経営者・院長にとって重要な財産であり、相続税・贈与税の負担や後継者への承継に大きな影響を及ぼします。
自社株式の評価額は、法人の財務内容や市場環境により変動するため、実務上、定期的に評価額を把握することが重要です。
特に新年度を迎える企業が多いこの時期は、評価の最新動向を確認し、4月以降の承継対策を検討する一つの区切りとなります。

1.市場動向を受けた非上場株式評価の上昇傾向

中小企業の非上場株式は、相続税評価において類似業種比準価額方式により評価されることがあり、上場企業の株価動向や株価指標の影響を受けます。
近年は業種によって、上場株価が上昇しており、売り上げや利益が大きく変動していない場合であっても、株価指標の変動により評価額が上昇する事例が見られます。

医療法人については、原則として純資産価額方式により評価が行われます。

この方式では、法人が保有する資産および負債を基礎として評価額が算定されるため、現預金の増加・土地等の資産価値の上昇により、評価額が上昇しやすい特徴があります。
特に、コロナ関連補助金等の影響で内部留保が増加し、出資持分の評価額が大きく上昇している医療法人も見受けられます。

2.医療法人における持分の有無と承継上の留意点

医療法人では、持分の有無により相続・承継時の課題が異なります。

持分あり医療法人

理事長等の相続時には、出資持分に対して相続税が課税されます。
純資産価額方式により評価されるため、内部留保が増加するほど出資持分の評価額が上昇し、相続税負担が重くなる傾向があります。
そのため、事前に持分評価額を把握し、計画的な事業承継対策を講じることが重要です。

持分なし医療法人

出資持分が存在しないため、出資持分に対する相続税課税は生じません。
一方で、理事長交代時には、管理者の変更手続き・理事構成の見直しなど、医療法上及び法人運営上の手続きが必要となるため、早期からの準備が求められます。

3.4月以降に取り組むべき株価・持分対策

①年度初めの「簡易評価」の実施
毎年4月時点で、直近期の決算内容や市場動向を踏まえ、非上場株式・出資持分の評価額を簡易的に算定しておくことが重要です。
評価額が上昇傾向にある場合には、贈与の検討・承継の見直しを早期に行う必要があります。
特に医療法人で持分がある場合、早期に評価額を把握することが相続税リスクの管理につながります。

②財産内容の整理
純資産価額方式を適用する場合の中小企業・医療法人では、現預金や遊休資産の増加が評価額を押し上げる要因となります。

  • 過大な現預金の有効活用(設備投資等)
  • 遊休資産の売却
  • 長期に渡る未収金の整理
  • 適正な役員報酬や退職金水準の検討

などの対応が株価対策として有効です。
医療法人の場合は、医療機器の更新や建替計画など、中長期の設備投資計画と併せて検討することで、より効果的な対策となります。

③事業承継スケジュールの見直しと前倒し
中小企業において、事業承継税制が株式承継の有効な手段となりますが、計画策定や各種手続きへの着手が遅れると、適用が困難となる場合があります。
医療法人では、理事長交代・親族・第三者承継に際し一定の準備期間を要するため、年度初めに承継スケジュールを再整理しておくことが重要です。
特に株価や持分評価額が上昇する前に、株式や出資持分の移転を完了させておくことは将来の税負担軽減に直結します。

まとめ

中小企業・医療法人のいずれにおいても評価額の把握と財務内容の整理を早期に行うことが円滑な承継の前提条件となります。
多くの企業が新年度を迎える4月以降の対策を見据え、計画的な準備を進めましょう

参考

非上場株式の「評価」とは? ~中小企業の経営者が知っておきたい基礎知識~
事業承継における自社株の株価対策とは|中小企業経営者が注目すべきポイントを解説
医療法人の事業承継とは?-出資持分に応じた承継手法や実施時の注意点を解説
「出資持分あり・なしの医療法人の違い」と「医療法人を承継する際の注意点」