1.AIは「作業の代わり」だけではない
「AIを使って業務効率化を図る」という言葉を耳にする機会が増えました。経理や事務の現場では、入力作業の自動化や資料の要約など、AIが人の手を助ける場面が確実に増えています。
けれども、AIの可能性はそれだけではありません。AIは単なる“作業の代行者”ではなく、新しい発想や視点を生み出す“きっかけづくりの道具”にもなります。
2.AIとの「分業」で得られる効率化
AIが得意なのは、ルールに基づく反復作業や大量のデータ処理です。
たとえば、取引データの整理や帳票の読み込みなど、人の判断を必要としない部分をAIが自動でこなしてくれるようになりました。
この「分業」によって、私たちは“入力や集計”といった単純作業から解放され、“数字の背景を読み解く”など、より本質的な業務に時間を使うことができます。
これが、AI活用の第一歩「分業による効率化」です。
3.次の段階は「発想を広げる」活用
AIを使う価値は、効率化の先にもあります。たとえば、経営資料や会議メモをAIに読み込ませて、「この数字の変化から考えられる課題は?」「改善策のアイデアを3つ出して」と尋ねてみる。
するとAIは、データの傾向をもとに、「販路拡大によるコスト増」「人件費上昇による利益率低下」など、思いもよらない観点を提示してくれます。
このようにAIを“考える相手”として使うことで、自分一人では気づかなかった発想やヒントを得られることがあります。AIを「意見を引き出すパートナー」として活かす――これが次のステップです。
4.AIを活用したアイデア創出の実例
AIの活用方法は、経営や日常業務のあらゆる場面に広がっています。
- 経営分析のヒントにデータをAIに要約させ、「この半年の傾向を簡潔にまとめて」と指示。重要な変化点を抽出してくれます。
- 事業計画・補助金申請のたたき台づくりに過去の資料を読み込ませ、「次年度の重点施策を3案提案して」とAIに依頼。計画の方向性を検討する参考になります。
- 会議資料や報告文の作成補助にAIが要点を整理してくれることで、文章作成にかかる時間を短縮。
このように、AIを「手伝わせる」だけでなく「考えさせる」ことで、新しい発想を得たり、チームでの議論が活性化することもあります。
5.AIをうまく活かす3つのポイント
- AIに任せすぎない
AIの提案はあくまで“補助的な仮説”として受け止め、最終判断は人が行う。 - 質問の仕方を工夫する
「何が問題?」よりも「なぜそうなった?」と問いかけると、AIの分析が深まります。 - 試してみることを恐れない
AI活用のコツは、まず触ってみること。
少しずつ慣れることで、自社なりの使い方が見えてきます。
6.AIを“使いこなす”から“活かしきる”へ
AIを導入する目的は、単に作業を減らすことではなく、考える時間を取り戻すことにあります。
- AIが整理し、私たちが判断する。
- AIが提案し、私たちが方向性を決める。
そうした日常の積み重ねが、新しいアイデアや次の戦略を生み出すきっかけになります。
私たち会計事務所でも、AIを業務効率化の手段としてだけでなく、お客様の「発想を広げる」サポートツールとして活用しています。
AIを上手に取り入れながら、数字から“ひらめき”を生み出す経営へ
今こそ、次の一歩を踏み出す時です。