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  • 2025.04.14
  • Category: 経営

【2024年度改正対応】賃上げ促進税制の最新情報と実務のポイント

投稿者:経営サポートグループ

2024年度の税制改正により、中小企業にとってさらに活用しやすくなった「賃上げ促進税制」。人件費の増加が企業の負担になる中、税額控除という形で国が賃上げを支援する制度です。今回は、最新の改正ポイントと実務上の対応についてご紹介します。

改正のポイント:前年より給与が下がっていても使える!

これまでの制度では、「前年度より給与が下がっている場合」は対象外となるケースが一般的でした。しかし、今回の改正では、「継続雇用者の給与等支給額が3%以上増加していれば」、一部の給与が前年より下がっていても税額控除(最大10%)の適用が可能となりました。

この見直しにより、業績に波のある企業や、一時的に人件費を削減した企業でも、再び賃上げを行った年に制度を活用しやすくなっています。

■ 中小企業に朗報!5年間の繰越制度が新設

2024年度の改正では、税額控除の繰越制度(最長5年間)が新たに設けられました(※中小企業者等に限ります)。
これにより、当期の法人税額が少なく控除しきれなかった場合でも、翌年度以降に繰り越して控除を受けることが可能になります。

例:賃上げによって100万円の税額控除が認められても、当期の法人税額が200万円の場合、法人税額の20%が上限になるため40万円(200万円×20%)使え、残り60万円は翌期以降に繰り越して控除可能。

資金繰りが厳しい中小企業にとっては、非常にメリットの大きい制度です。

■ 対象となる「継続雇用者」とは?

対象となるのは、前期と当期の両方に在籍している正社員、契約社員、パートタイマー等の「継続雇用者」です。
一方で、新規採用者や退職者は対象外となるため、給与台帳や賃金台帳を正確に管理することが重要です。

■ 実務での対応ポイント

制度の適用を受けるには、以下のステップを正確に行う必要があります。

  1. 継続雇用者の抽出と支給額の比較(賃金台帳の確認)
  2. 賃上げ率が3%以上であるかの計算
  3. 税額控除額の試算(法人税額の20%が控除上限)
  4. 必要書類の準備と、申告書への明細添付

■ 最後に

制度は「知っているだけ」では効果を発揮しません。
すでに賃上げに取り組んでいる企業はもちろん、これから検討する企業も、早い段階での試算と制度活用の判断が重要です。

繰越控除の活用も視野に入れながら、この制度を最大限に活かしていきましょう。
制度の詳細や自社での適用可否など、気になる点がありましたら、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。