今年は賃上げの春、10月は過去最大の最低賃金引き上げにもなり、中小企業では、人材の確保・採用、物価上昇への対応などから賃上げを実施したところもあれば、今後、賃上げを検討しているところもあるでしょう。
賃上げを行う企業に対しては、いくつかの公的支援が設けられております。
1.業務改善助成金
事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げ、設備投資等を行った中小企業・小規模事業者等に対して、設備投資等の費用の一部を助成する制度です。
**対象条件**
事業場内の最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内の事業場。
**助成率**
助成率は引き上げる労働者の数と引上げ額に応じて設定されており、上限額が定められています。
詳しくは、厚生労働省 「業務改善助成金」
2.キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定等を3%以上増額改定し、適用した場合に助成する制度です。
**主な要件**
- キャリアアップ計画の作成・提出
- 賃金規定等の適用
- 3%以上の賃金アップと6ヶ月分の賃金支給
**助成額**
- 3%以上5%未満増額:1人当たり5万円(大企業3.3万円)
- 5%以上増額:1人当たり6.5万円(大企業4.3万円)
- 1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は100人まで
詳しくは、厚生労働省 「キャリアアップ助成金」
3.中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資を促進することで、地方における持続的な賃上げを実現することを目的とした補助金です。
**主な特徴**
補助上限額:50億円(補助率1/3以内)
補助対象:常時使用する従業員数が2,000人以下の中堅・中小企業(単体ベース)
補助事業期間:交付決定日から最長で令和8年12月末まで
詳しくは、経済産業省委託先「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」
4.事業再構築補助金
成長分野進出枠(通常類型)、成長分野進出枠(GX進出類型)、コロナ回復加速化枠(通常類型)、コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)、サプライチェーン強靱化枠の5つがあります。この中で、短期的に大規模な賃上げを行う場合に補助率が引き上げられているものや、継続的な賃金引上げと従業員の増加に取り組む場合に補助上限の上乗せが設けられているものがあります。
詳しくは、経済産業省 「事業再構築補助金」
※3・4の補助金は期間を区切って公募され、要件が変わることもあるため、最新情報をご確認ください。
【参考・引用】株式会社名南経営ソリューションズ Mykomon 補助金・助成金情報
これらの支援制度を活用することで、企業は賃上げに伴う負担を軽減しつつ、従業員の待遇改善や生産性向上を図ることができます。ただし、各制度には予算制限があるため、早めの検討と申請を推奨いたします。
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