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  • 2024.08.09
  • Category: あけぼの(社報)

【会報誌】あけぼの 2024年08月号

※Gはグループを意味します

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掲載内容一部抜粋

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内田会計グループ 代表 長崎オフィス 所長 税理士 内田 佳伯

インターネットの影響力

税務署は7月が人事異動で、長崎税務署は署長をはじめ幹部のほとんどが入れ替わったのですが、同じく異動があった、というか異動がなかったというか、東京都知事選は現職の小池氏が当選しました。このこと自体は想定されていましたが、二番手となったのは予想されていた蓮舫氏ではなく新人の石丸氏でした。
皆さんニュース等でご存じの通り、石丸氏は安芸高田市の元市長で、市長時代に市議会や地元新聞記者をやり込める様子がネットで人気を博していた方です。当初、テレビや新聞等は石丸氏を、実績が少ないからか意図的なのか、あまり取り上げていませんでした。
しかし、動画サイトやSNSでは石丸氏支持の情報発信が非常に多くあり、最後にはマスコミも取り上げるようになって蓮舫氏を上回る票を得ました。少なくとも今回の都知事選において、有権者への影響力という点ではインターネットが既存のマスメディアに勝った、と言えると思います。

動画サイトやSNSの特徴に「エコーチェンバー」というものがあります。直訳すると「反響室」となり、内部で音が反響してどんどん大きくなる様子を表します。動画サイトで石丸氏を支持する動画を見ると、関連動画として同じような支持動画が出てくる。SNSで石丸氏を支持する記事を読むと、同じく支持する人のコメントが多く付いている。自分が支持する記事を書きこむと賛同するコメントが付く。これを繰り返すと、世界中の人が石丸氏を支持しているような錯覚に陥り、それが正しいことだと思い込んでしまう、という現象です。この現象は洗脳に近い作用をもち、SNS等の危険性として知られており、今回の都知事選でも少なからず影響を与えたと思います。

新人の石丸氏が、ベテランで知名度もある蓮舫氏を上回ったことは、良くも悪くもインターネット媒体の影響力の大きさを改めて証明しました。すでに新聞やテレビに使われる広告費よりもインターネット広告に使われる広告費が上回っています。インターネットのリスクは知ったうえで備え、メリットはうまく活用することが求められますね。