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  • 2024.04.22
  • Category: 相続・事業承継

相続税における障害者控除について

投稿者:相続事業承継グループ

所得税と同じように相続税にも障害者控除があります。
相続人が障害者である場合には、相続税の金額から一定の金額を差引くことができます。
財産の額からではなく、相続税額から差し引くことができるため、負担を軽減する効果が大きい控除です。

相続税における障害者控除の概要

障害者控除額は障害の程度や年齢によって計算式が異なります。

1.一般障害者の場合(身体障害者手帳であれば、1級、2級以外)

控除額 = (85歳-相続開始時の年齢) × 10万円

2.特別障害者の場合(身体障害者手帳でいうと、1級、2級)

控除額 = (85歳-相続開始時の年齢) × 20万円

例えば、60歳の相続人の方が、4級の身体障害者手帳をお持ちだった場合には、250万円もの相続税の負担が軽くなります。

また、障害者控除については、相続税の申告をしなくても適用できる規定です。
そのため、相続が発生し、概算で相続税の試算をした結果、障害者控除により相続税の納税が発生しないということであれば、相続税の申告は不要です。
つまり、相続税額の負担軽減だけではなく、申告そのものが不要となることもあります。

相続税における障害者控除の要件

相続税における障害者控除は次の4点をすべて満たした場合に適用できます。

①85歳未満の障害者であること
②日本国内に住所があること
③法定相続人であること
④相続財産を取得すること

なお、障害者の範囲は所得税と同様で次の通りです。

➀児童相談所または精神保健指定医等の判定により知的障害者と判定された者
➁精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
➂身体障害者手帳の交付を受けている者(1級から6級)
④➂に準ずるものとして市町村等の認定を受けている者

障害者控除額が相続税額より大きい場合

前述算式により求められた障害者控除額は、障害者である相続人本人の相続税額から引ききれないことがあります。この場合には、障害者である相続人の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。
なお、扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、3親等以内の親族のうち一定の者をいいますが、前述親族要件の他には特に要件が規定されていないため、実際に扶養していない者であっても扶養義務者に含まれます。

まとめ

障害者控除は税負担の軽減効果が大きく、その控除の対象となる方の範囲も広くなっています。
長崎市のホームページには「要介護認定で要介護の認定を受けた満65歳以上で身体や精神に障害があり障害者に準ずるとみなされた方は、身体障害者手帳等をお持ちでない場合であっても、所得税や市・県民税の障害者控除を受けられる場合があります。」と記載があります。

ご身内に認定の対象となりそうな方がいらっしゃいましたら、一度市役所に相談に行かれてみてはいかがでしょうか。

参考

長崎市 その他のサービス(高齢者のためのサービス) 「障害者・特別障害者控除」の章