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  • 2023.08.08
  • Category: 福祉介護 , 経理

介護事業者と印紙について

投稿者:福祉介護グループ

 印紙税とは、印紙税法に定められた課税文書を作成した時にかかる税金です。

 介護事業者に限定した場合、主に注意する必要があるのは①契約書への印紙②領収書への印紙ではないでしょうか。そこで、それぞれの注意すべき点を見てみたいと思います。

契約書への印紙について

 まずは、契約書への印紙についてです。

 介護事業者が介護保険制度の下で作成する次の契約書は、原則として印紙税法の課税文書に該当しないため、印紙は必要ありません。

  • 居宅介護支援サービス契約書及び付属書類
  • 訪問介護サービス契約書及び付属書類
  • 訪問入浴介護サービス契約書及び付属書類
  • 訪問看護サービス契約書及び付属書類
  • 訪問リハビリテーションサービス契約書及び付属書類
  • 居宅療養管理指導サービス契約書及び付属書類
  • 通所介護サービス契約書及び付属書類
  • 通所リハビリテーションサービス契約書及び付属書類
  • 短期入所生活介護サービス契約書及び付属書類
  • 短期入所療養介護サービス契約書及び付属書類
  • 認知症対応型共同生活介護サービス契約書及び付属書類
  • 特定施設入所者生活介護サービス契約書及び付属書類
  • 福祉用具貸与サービス契約書及び付属書類
  • 介護福祉施設サービス契約書及び付属書類
  • 介護保健施設サービス契約書及び付属書類
  • 介護療養型医療施設サービス契約書及び付属書類

 印紙が必要となる契約書は、主に民法上の請負契約書です。請負契約とは、「当事者の一方が仕事の完成を約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払う」ことです。
 しかし、介護事業者が作成する上記の契約書は、利用者の要望に沿った介護サービス計画に従い、利用者が全体として適切な介護サービスの提供を受けるために記載されているものと考えます。そのため、民法上の請負契約書には該当しないので、印紙税はかからないという解釈になります。

 裏返して言えば、上記以外の契約書は印紙が必要な場合がありますので、ご注意ください。

領収書への印紙について

 次に、領収書への印紙についてです。

 まず、領収書は原則、印紙が必要です。ただし、次の場合は、印紙税は非課税になります。

  • 記載された受取金額が5万円未満のもの。
  • 営業に関しないもの。例えば、その領収証の作成者が公益法人(一般・公益財団法人、一般・公益社団法人、社会福祉法人又は医療法人等)であるもの及び特定非営利活動法人(NP0法人)等であるものがこれに該当します。

 まとめますと、次のとおりです。

  • 株式会社、有限会社、合同会社などが発行する領収書で5万円以上のものは、印紙が必要
  • 社会福祉法人、一般・公益財団法人、一般・公益社団法人、医療法人、NPO法人などが作成する領収書は、金額や内容にかかわらず印紙は不要

引用・参考:国税庁HP 介護サービス関係Q&Aページ掲載 介護サービス関係 Q&A集[PDF]12P 連番189・190欄

③ 印紙税を納めなかったとき

 印紙税の納付は、通常、作成した課税文書に収入印紙を貼付け、消印することによって行います。
 課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額、すなわち当初に納付すべき印紙税の3倍に相当する過怠税が徴収されます。

 なお、税務調査を受ける前に、自主的に不納付を申し出たときは1.1倍に軽減されます。

 また、印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額に相当する過怠税が徴収されます。
 過怠税は、法人税や所得税の必要経費にはならないため、注意が必要です。

参考:国税庁ホームページ 印紙を貼り付けなかった場合の過怠税

 これまで作成された契約書や領収書はいかがでしょうか。見直しの際、ご参考になりましたら幸いです。