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  • 2023.07.27
  • Category: 相続・事業承継

令和6年1月以降の贈与から相続時精算課税に基礎控除を創設

投稿者:相続事業承継グループ

 贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、受贈者(贈与を受けた方)は贈与者(贈与をした方)ごとにそれぞれ課税方法を選択することができます。

 暦年課税では、年110万円までの贈与は基礎控除により課税されませんでしたが、相続時精算課税を適用して贈与をした場合でも、令和5年度税制改正により、基礎控除として毎年110万円を控除できるように改正が行われました。

1.相続時精算課税とは

 相続時精算課税の改正前における特徴としては、主に以下のとおりです。

  • 暦年課税による計算とは違い、原則、この制度を選択して贈与を受けた財産の合計額が累計で2,500万円を超えるまで贈与税は課されませんが、超えた段階から一律20%の税率で贈与税が課されます。ただし、暦年課税とは違い、基礎控除はありません。
  • この制度を適用することができるのは、原則、父母又は祖父母から贈与を受けた子又は孫であり、それぞれに年齢制限(その年1月1日現在、贈与者:60歳以上、受贈者18歳以上)があります。
  • 一度この相続時精算課税を選択すると、その後、同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ変更することはできません。
  • 贈与者である父母または祖父母などが亡くなった場合には、相続時精算課税を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)の合計額を相続財産として、相続等により取得した他の財産と合算して相続税を計算した上で、既に納めた贈与税額がある場合には、相続税額から控除して相続税額を算出します。

2.令和5年度税制改正

 令和5年度税制改正は、次のとおり可決改正されました。

  • 相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できます。例えば祖父から相続時精算課税、父から暦年課税を選択すれば年220万円の控除が可能です。
  • 特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる当該特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、前述の控除をした後の残額とします。

 この改正は令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されることとなりました。

 なお、この他に、相続時精算課税制度の適用に係る贈与財産について、その贈与の日からその特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に、災害によって一定の被害を受けた場合には、その被害を受けた部分に相当する金額を控除することができる旨の改正も行われています。こちらは、令和6年1月以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用されることから、すでに贈与されている財産であっても適用対象となる点にご注意ください。

3.相続時精算課税と暦年課税の対比

 今回の改正により、相続時精算課税では、年間110万円までの贈与であれば、贈与税の申告や納税は不要です。また、相続税の申告の際に相続財産に加算されることもありません。

 一方、暦年課税では年間110万円以下の贈与であっても、相続開始前3年以内の贈与はその全額を、4~7年以内の贈与は100万円を差引いた金額を相続財産に加え相続税を計算することとなりました。  

 相続時精算課税は、基礎控除が創設され使いやすくなった一方、暦年贈与は相続財産への加算対象が3年から7年に延長され課税が強化されました。

相続時精算課税制度の基礎控除(年110万円)のイメージ

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