社会福祉法人の指導監査は、所轄庁が法人の運営や会計の状況を確認し、必要に応じて助言や指導を行うことで、適正な法人運営と健全な経営の実現を支援する制度です。
監査という言葉から緊張感を抱かれることもありますが、法人運営を見直し、より良い組織づくりにつなげる機会として捉えることもできます。実際には、大きな問題が指摘されるケースばかりではなく、「書類の保管が不十分だった」「規程と実際の運用に違いがあった」といった改善事項が確認されることも少なくありません。
日頃から書類や規程を整理し、運用状況を定期的に確認しておくことは、円滑な監査対応だけでなく、法人運営の信頼性向上にもつながります。
そこで今回は、指導監査の際に確認されることが多い会計・法人運営上のポイントを5つに分けて見ていきたいと思います。
1.理事会・評議員会の運営
理事会や評議員会は、法人運営の重要な意思決定の場です。
- 理事会や評議員会の招集手続が定款どおりに行われているか
- 議事録が適切に作成・保管されているか
- 利益相反に関する事項についての議事が記録されているか
などを定期的に確認しておくと安心です。
2.規程類と実際の運用
法人には経理規程や給与規程、旅費規程など様々な規程があります。
規程自体は整備されていても、
- 現在の運用実態と合っているか
- 見直し後の内容が反映されているか
- 法令の改正などに対応しているか
を確認しておくことが大切です。
規程と実際の運用が一致していることで、職員にとっても分かりやすいルールとなります。
3.契約や支出の手続
日々の支出に関する意思決定の過程が分かるようにしておくことも重要です。
例えば、
- 見積書を取得しているか
- 契約書を保管しているか
- 決裁の経緯が分かる資料が作成及び保存されているか
などを確認しておくことで、支出の妥当性を説明しやすくなります。
4.会計処理と固定資産管理
会計面では、
- 固定資産台帳の整備
- 減価償却の実施
- 拠点区分ごとの会計処理
などが確認されます。
特に、購入した備品や設備については、帳簿と現物が一致しているかを定期的に確認しておくと安心です。また、2.でも触れた経理規定や社会福祉法人会計基準に沿った処理がされているかの確認も必要です。
5.福利厚生費・旅費の管理
職員の働きやすい環境づくりのための福利厚生制度は大切な取組です。
その一方で、
- 利用対象者
- 利用方法
- 支給根拠
が分かる資料を整えておくことで、制度の趣旨を説明しやすくなります。
旅費についても、精算書や出張報告書を整理しておくと、より適切な管理につながります。なお、福利厚生費や旅費については、利用内容や運用方法によって給与課税の対象となる場合もあります。その結果、源泉所得税や社会保険料の取扱いが必要となることもありますので、事前に確認しておくと安心です。
簡単セルフチェック
□ 理事会・評議員会の議事録を保管している
□ 規程と実際の運用に違いがない
□ 見積書・契約書等を整理している
□ 固定資産台帳を定期的に更新している
□ 福利厚生費の利用記録を保管している
□ 旅費精算書や出張報告書を保存している
おわりに
指導監査は、法人運営を見直す良い機会でもあります。日頃から必要な記録や証憑を整理し、「いつでも説明できる状態」を維持することが、適正な法人運営につながります。
小さな確認の積み重ねが、職員や利用者、そのご家族から信頼される法人づくりの土台となるのではないでしょうか。
また、11月~12月に弊所で社会福祉法人向けのセミナーを開催いたします。
指導監査や法人運営についての実務に即した講義も予定しておりますので、ご興味がございましたら是非ご参加ください。